一九九五年、神戸を襲った阪神淡路大震災。避難所では、冷たいおにぎりやパン、牛乳、そしてインスタント食品が配給された。たまに口にした弁当は、石のように固いご飯で、お湯をかけてふやかさなと食べられない。そしておかずはいずれも脂ぽく、お年寄りはすぐに敬遠した。
「小さな子どもからお年寄りまでが食べられて、安くていつでも手に入る。そして嫌いな人がいない」
そんな夢のような食材を使った弁当を考えた一人の栄養士がいた。栄養士が考え抜いたメニューによって、その野菜はソテー、ボイル、ゴマあえ、スープ煮、千切りなどに変身し、被災地の多くの人の精神と健康を救った。日本人にはとても馴染み深いキャベツ、それが救世主の正体である。
日本人は昔から「旬」を大切にしているが、しかし、実のところ旬については明確な定義はなく、かなり曖昧だった。そこで「旬の野菜推進委員会」がようやく明解な定義を打ち立てた。その定義とはそれぞれの野菜が●それぞれの地域で●もっとも適した時期に●無理なく、無茶せずつくられるために●化学農薬・化学肥料の使用量が少なく安全で、そのような作り方が●自然環境に優しく●人に優しい作り方である。それを●食べごろに●新鮮な状態で収穫するので●栄養分がいっぱいの●おいしい野菜となる。というものだ。
定義にするとなんやら堅苦しいが、その季節に、その土地へ出向き、そこで食べるのがなんと言っても一番の方法である。
写真右○荘川町黒谷/標高1200 mのダナ高原
(right) Dana Highland, 1200 meters above sea level,
Shokawa-cho Kurodani
写真左○荘川町新渕/荘川の里
(left) Shokawa-no-sato (Shokawa Folk Village),
Shokawa-cho Arabuchi
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