たまゆらに映し出される高山 text by Takayama City 高山市

たまゆらに映し出される高山

高山市 text by Takayama City

 飛騨という名前は、山が襞(ひだ)をなして連なることからつけられたという説がありますが、古くから山や森に抱かれて生きる高山の人々は、飛騨の豊かな自然から暮らしに必要なものをいただいて生きてきました。
 自然は季節に合わせ豊かな恵みを与えてくれますが、山間地特有の厳しい冬は、寒さや雪に耐える知恵や、ともに支えあうことの大切さを教え、雪の下で芽吹く山菜から長い冬の終わりを感じるような、繊細でやさしい感性も育ませてくれます。このように自然と暮らしはタテ糸とヨコ糸のように複雑に織り込まれながら、祭礼や歳時記、そしてしきたりや気質などに、色艶やかに映し出されています。
 平成十七年二月、高山市は近隣九町村と合併し、東京都とほぼ同じ大きさの日本一広い市となりました。見渡せば乗鞍岳をはじめとする北アルプス、御岳、白山の山々に囲まれた広大な市域はその九十%以上を森が占めています。森は太平洋や日本海に注ぐ多くの川の源流として、二酸化炭素を吸収する木々の住みかとして、今や地球規模の環境保全に重要な役割を果していますが、私たちは自らの源となる豊かな自然を守り育て、共に生きる知恵を継承しながら、次の世代に引き継いでいく役目も同時に担っています。
 今年、高山市は七十才を迎えましたが、市制施行七十周年記念誌を制作するにあたり、繊細な美しさと力強さを兼ね備えた高山の風土に視点を合わせました。巻頭は「風土と人」と題して、写真家稲越功一さんに掬すくいとっていただいた叙情溢れる風景に、山本純一さんが散文を添えたフォトエッセイ、そして落合恵子さんをゲストに招いた三者対談。さらには高山市民の地道な活動をご紹介しながら、魅力ある高山のまちづくりのガイドラインを併せてご紹介させていただきました。
 記念誌「たまゆら」をお手に取られた方が、自分たちのまちを見つめ直すきっかけになり、外から高山に接するみなさんには、そこに暮らす人々のやさしい息吹を感じていただければ幸いです。
 最後になりましたが、写真撮影や取材にご協力いただいたみなさまに紙面をお借りして、お礼申し上げます。

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