桜が咲き始める頃になると日本中が浮き足立ってくるが、咲き始めと散り際の両方を楽しめる花は桜をおいて他にない。桜はその可憐な花びらからは想像できないほど荒々しい生命力を持っているが、御母衣ダムの湖畔には二本の樹齢を加算すると実に九〇〇年以上にもなるアズマヒガンザクラが、春になると雪のような白い花を咲かせる。この桜は当時国策であったダム建設に伴い、村と共に水没される運命にあったのだが、花守たちが必死になって移植したのだ。
それから三十五年の歳月が経ち、荘川桜の精は一人の男に宿った。道下隆司(五十九才)は荘川の郷を荘川桜の並木にするのが夢で、昔から古来種のアズマヒガンザクラの子孫を作っていた。(子の親は荘川桜である)
おりしもその頃、神山征二郎監督の映画「さくら」が全国で上映され、映画を見た子どもや先生、そして多くの人から「桜を植えたい」という要望が道下氏の元へ届いた。その数は現在に至るまでに八八五本。日本だけでなくカルフォルニアの教会や会社、そして学校から依頼は舞い込んだ。
春が近づくと、道下氏は縄で根ごしらえをし、苗木の枝を一本一本折れないように丁重に包み、全国へ送る。こうして荘川桜のDNAと生命力は時代を超え、場を超え、全国へと繋がっていく。
市民の皆さんに心地よく暮らしてもらえれば、観光客にも心地よく感じてもらえる。そう考える高山市は、平成十七年三月に岐阜県内で初めて「誰にもやさしいまちづくり」条例を制定し、翌平成十八年にその指針を定めました。
まず学校や文化施設など公共施設やホテル、店舗、駐車場など多くの人が利用する施設をバリアフリーに配慮した建物にする国の「ハートビル法」を拡充し、観光客のために五十室以上の客室をもつホテルには車いす対応の客室の設置、冬期に備えて出入り口に屋根、ひさしを設け、雪などを払う場所を確保するなど、高山ならではの条項も盛り込みました。
また、市のホームページを音声読み上げや文字拡大などに対応させ、地域のできごとや議会中継を、字幕などをつけたインターネットTVで配信。イベントや制度のお知らせなどを地域FM局とインターネットで毎日放送するなどして市域の情報格差の解消を図っています。また、日本一広い市内を高齢者の方などが無理なく移動するために福祉バス"のらマイカー"や"地域福祉バス"を運行しています。子育て支援金の支給、子どもの医療費を小学六年まで無料化、保育園の午前七時.午後七時までの開園、平日土曜日に放課後の小学生を預かる留守家庭児童教室を拡張するなど、子育てを支援するサービスの充実もすすめています。
<すみよさのあるまち。 | |コミュニケーションのトップ| | ゆたかさのあるまち。> |
写真○自宅の裏庭で大きく育った荘川桜に囲まれて
Surrounded by Large Shokawa Cherry Trees in his Backyard
※写真をクリックすると拡大して表示します。