高山の町のなかを川が流れている。この川には上(かみ)から数えて十あまりの橋がかかっている。晴れた日には、この宮川の流れに青い空が映り、白い雲が浮かぶ。
高山の町はこの川を境におおざっぱに二つに分かれ、川から東が古い町、そして西が新しい町である。町の中心を流れる宮川と弥生橋で合流する江名子川には、錦絵の匂いがするような名前の橋がかかり、空町と呼ばれる、慎ましく、静かな町がある。
京都を引き合いにし、高山を「小京都」と呼ぶ人がいる。確かに気品があって雅なところは似ているかも知れないが、「おごそかで、つつましく、気取らず、人なつこい」というのは飛騨びとの性分のような気がする。
ところで『飛騨びと』が史学上最初に登場するのは日本書記で、その後の平安期の古文書も含め、いずれにも『飛騨びと』は異民族と記されているという。そこで某大学教授が住民からサンプルをとり、ミトコンドリアDNAの塩基配列の研究を始めたと聞くが、両面宿儺や飛騨の匠に代表される『飛騨びと』とはどんな特異性を持った民族だったのか、その研究結果が大いに楽しみである。
写真左○高山市街地/さるぼぼ
(left) Sarubobo Doll, Central Takayama
写真右上○高山市街地/花を売る人
(right) A Woman Selling Flowers, Central Takayama
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